Interview: Takashi Yuda (2004-01-29) by Sega.jp
From Sega Retro
This is an unaltered copy of an interview of Takashi Yuda, for use as a primary source on Sega Retro. Please do not edit the contents below. Language: Japanese Original source: Sega.jp: Creators Note |
This article contains untranslated text or images that are written in Japanese.
The original text should stay, but please improve the quality of this article by providing a supplementary English translation. |
- 日本語
- Roumanji†
- English
セガのゲームを作る、あんな人、こんな人。 どんな人が、どんなことを考えて、セガのゲームは生まれるのか? それぞれのクリエイターが持つ “こだわり” や “発想”、開発中に起きるエピソードなど、普段はなかなか聞けないことを、直接会って聞いてみよう! というこのコーナー。 今回は、落ちゲーの定番 「ぷよぷよ」 の面白さはそのままに、新システム “フィーバーモード” を搭載し新たな戦略性も生まれた 『ぷよぷよフィーバー』(PS2/DC/GC/Xbox) のディレクターである 湯田 高志 氏(ソニックチーム) にお話しを伺いました。 湯田 高志 (ゆだ・たかし) (株)ソニックチーム プランニングセクション 『ぷよぷよフィーバー』 ディレクター 1965年生まれ O型 ■主な経歴 1990年セガ入社。デザイナーとして第6研究開発部に所属となり、メガドライブのディズニーシリーズのメインデザイナーなどを務める。 その後、UGA で DC 『スペースチャンネル5』 ディレクターを経て、ソニックチームへ。 最新作 『ぷよぷよフィーバー』 でもディレクターとして4つのプラットフォームを取りまとめる。 ―― 初めて遊んだゲームは何ですか? 湯田■小学生の頃だと思うんですけど、初めて遊んだゲームはただボールを打ち返すだけの単純なゲームでした。画面はもちろん白黒です。 その後しばらくブランクがあって、久しぶりにゲームセンターに行った時には画面がカラーになっていて驚きましたねぇ(笑)。 (*)『スクランブル』 というゲームだったんですが、カラフルになっているだけでなく横にスクロールしていくゲーム性も新しくて、すっかりハマってしまいました。 ―― セガに入社するきっかけを教えてください。 湯田■高校生になる頃にはサッカーに夢中でゲームとは無縁の生活を送っていたんですが、大学は美大を選び、某ゲーム会社でキャラクターのデザインのバイトをするようになりました。 それはファミコンのゲームだったんですが、大学のサークル仲間の紹介があり、セガでデザイナーとしてバイトすることになったんです。ちょうどメガドライブの立ち上げの頃ですね。 セガでは家庭用のための第6研究開発部という部署ができて、大場さんのもとで (*)『ザ・スーパー忍』 の背景を描いたのが最初の仕事になりました。それがきっかけで、大学卒業後そのままセガに就職することになったんです。 ―― 入社後は、どのようなタイトルを手がけてきたんですか? 湯田■入社と同時にメインデザイナーとして 『アイラブミッキーマウス 不思議なお城大冒険』 をやって、その後ディズニーの一連のシリーズは携わっています。 このシリーズは 動き にとことんこだわりました。例えば、当時のゲームのキャラクターって、キー入力をしている間は歩いているのにキー入力をやめると “途端に” 立ちポーズになるものが多かったんです。それでキー入力をやめた時にいかに自然に立ち止まるか、ということを考え続けました。 今までのゲームにならってキャラクターの動きをつくっているだけじゃ物足りなかったし、題材がディズニーということもあったんでしょうね。アニメなどゲーム以外の部分から学んだものを、ゲームのキャラクターに反映していったんです。 ジャンプ中に進行方向のキーを押していたら、着地後にスムーズに走っていく。あるいはジャンプ中にキーを押していなかったら、いかに自然に立ち止まるか。 ……そういった動きに対するこだわりにどんどん欲が出てきて、立ち止まってる時もどこかが動いてるようにしたり、崖っぷちで 「おっとっと」 と落っこちそうになる時のアクションなんかを付け加えていきました。 キー入力している時はもちろん、キー入力していない時のこだわりも強く持っていたんですよ。このあたりは評判もよくて、『ソニック・ザ・ヘッジホッグ』 にも反映されました。 このようにキャラクターのアクションに関して面白い試みをやっていたので、それが中さんの目に留まって 『ソニック・ザ・ヘッジホッグ3』 の開発に参加することになったんです。 ―― 当時、『ソニック3』 はアメリカで開発していたんですよね。 湯田■はい。アメリカに行って、“ナックルズ” をデザインしました。 『ソニック2』 では “テイルス” という新キャラが登場したので、『3』 でも新しい相棒キャラをつくってみようということになったんですね。 「ソニックとほぼ同等の力を持ってる」 とか 「まわりから遮断された文明の中で育った」 など企画の方からいくつかの設定をもらって、描き始めました。 頭がドレッドだったり、体の色が緑だったり、たくさんのナックルズをデザインしました。最終的には子供たちにリサーチをして、10カット以上の中から現在のナックルズに決定しました。 ナックルズの首の下あたりに 月の輪熊(ツキノワグマ) みたいなマークがありますよね? 折り合いがつかなくて実現には至りませんでしたが、某シューズメーカーとのコラボレーションを考えていたんですね。あのマークはその名残なんです。 ―― 帰国後は、どんなタイトルに携わっていますか? 湯田■アメリカから帰国してからは、サターンの 『ビクトリーゴール'96』 などの企画とモーションを担当しています。 その後しばらくしてから、コアなユーザー向けというイメージがあったドリームキャストを一般ユーザーに認知してもらうための作品を考え始めたんです。その作品が 『スペースチャンネル5』 になりました。 昔は100万本くらい売れるソフトがゴロゴロしていたように思いますけど、今はゲーム以外の娯楽が多いので、一般ユーザーに興味を持ってもらうのが大変ですよね。だから、ゲームだけの狭い世界じゃまずいなぁと思っていました。 ……私はもともと音楽好きだったので、どのくらい音楽とゲームが絡むことができるのだろうと考えて 『スペースチャンネル5』 の企画がスタートしたんです。 この作品ではディレクターとして開発に参加している私ですが、成り行きで登場人物の “ヒューズ” の声なんかも担当しています(笑)。 ちなみに続編の 『スペースチャンネル5 パート2』 では声だけの参加です(笑)。ディレクターとして 「スペチャン」 の次の作品は 『ぷよぷよフィーバー』 になります。 ―― 『ぷよぷよフィーバー』 の企画がスタートした経緯を教えてください。 湯田■ 「ぷよぷよ」 の昔からのコアなファンは今でも遊んでくれていますが、まだ 「ぷよぷよ」 のことを知らない人も多いですよね。新しい世代に知られていないんです。 だからもっとたくさんの人に広めなくちゃならないでしょ、と。そういう思いを込めて企画がスタートしました。 「ぷよぷよ」 最新作は、フィーバーモードで対戦がさらにヒートアップ! 初心者から上級者まで誰でも大連鎖の快感が味わえる。新しくなったキャラクターたちが繰り広げる漫才デモもオモシロイ! 「3個組ぷよ」 「4個組ぷよ」まで落ちてくる、パワーアップした 「ぷよぷよ」 に挑戦しよう!! ―― 当時から4機種で出す計画があったんですか? 湯田■はい。とにかく広めていきたいという気持ちがありましたので、当初から4機種で出すことは決まっていました。 移植に関しても (*)「レンダーウェア」 というライブラリを導入したことによりスムーズに行うことができるのが大きかったと思います。 ―― 本作の新しい要素や、今までの 「ぷよぷよ」 と大きく変わった部分はどこですか? 湯田■まずは、初心者でも連鎖の爽快感を味わうことができる新システム 「フィーバーモード」 を搭載したこと。 それから、デザインもキャラクターも一新したこと。以前のイラストを描いている方には失礼だなと思いますが、ソニックチームのカラーに合わせて変えました。 それと 「3個組ぷよ」 「4個組ぷよ」 が登場することでしょうか。 ―― 「フィーバーモード」 のアイデアはどこから生まれたんですか? 湯田■発案者は中社長で、パチンコのフィーバーを見て 「これを、難易度を下げる部分としてゲームに入れ込めないだろうか……」 という一言から生まれました。 中社長の最初のその提案を、企画担当などスタッフで練り込んで出来上がったものが現在の 「フィーバーモード」 です。 ―― 「フィーバーモード」 を搭載した理由を教えてください。 湯田■今までの落ちゲーって、ストイックなものだったと思うんです。 例えば 「テトリス」 って、隙間を埋めていってただひたすら消していくゲームじゃないですか。確かに 「ぷよぷよ」 にもストイックな部分があるけれど、ただ落として消していくだけではないですよね。 「ぷよぷよ」 の対戦をする時は、相手がどんなことをやってくるか予想しながら 「連鎖をしたいんだけど、今は我慢しよう」 など “駆け引き” をするわけですから。そういう戦略性があるところが他の落ちゲーと違う部分であって、このゲームの面白いところだと思うんです。 ただし、連鎖を組むのが難しい……。今までの 「ぷよぷよ」 って、簡単に消していくことは誰でもできるんですが、連鎖を組むのはハードルが高いんです。 それを、うまい人とやっても対等にできるし、しかもうまい人にドカーンと返すこともできるようにしたいというコンセプトで搭載されたのが 「フィーバーモード」 です。 ―― 「3個組ぷよ」 「4個組ぷよ」 は、どのような狙いがあって登場することになったのでしょうか。 湯田■今までは “ぷよ” と言えば2個組のものでしたが、本作では 「3個組ぷよ」 「4個組ぷよ」 が登場します。 はじめて 「4個組ぷよ」 のデッカイかたまりが出てくると 「いったい何すんじゃー!」 みたいにビックリして、うまく使えない人がほとんどだと思います(笑)。だけど、(ラインでずらして2個2個にしたり、など)慣れると意外に使えることに気づくはずです。 いわゆる 「ぷよらー」 と呼ばれる上級者と、これから 「ぷよぷよ」 を始める人では、対戦をしてもどうしても差がついてしまうと思います。だから、新しいルールをつくって、なるべく差をつけないようにしたかったんです。新しいルールが増えると、お互いに1から考える部分があるじゃないですか。同じ土台に立ってほしかったんです。 それと 「3個組ぷよ」 「4個組ぷよ」 を登場させたもうひとつの理由としては、“新しい戦略を生み出したかったから” です。 ぷよを積み上げて連鎖を仕込んでいる最中に、今までのように 「2個組ぷよ」 だけだと起爆させたくない時は起爆しないように置くことができたわけです。だけど、「3個組ぷよ」 「4個組ぷよ」 となると、色数の問題でどこに置いても起爆してしまう状況もあるわけです。 また、「3個組ぷよ」 「4個組ぷよ」 があるおかげで、あまり高く積み上げると自爆してしまう確率も高くなりました。 だから、昔の 「ぷよぷよ」 の戦い方だけでは勝負できないかもしれません。 「3個組ぷよ」 「4個組ぷよ」 の登場で、ちょっと新しいゲーム性が入ったのかなと思います。 ―― 最後にメッセージをお願いします。 湯田■開発が始まった時、本当は私が 「ぷよぷよ」 のことをスミからスミまで理解して “名人” にでもなってやろうなんて思ってたんですが……、実は今でもスタッフのなかで一番へたなのが私です(笑)。 その代わりと言っては何ですが、スタッフのなかにスゴイ人がいます。今までの 「ぷよぷよ」 の公式大会にも本物の 「名人」 として出てきたくらいの猛者です。そういう方にも思考ルーチンを考えてもらったりしていますし、元コンパイルのスタッフにも参加してもらっています。 いかに一般の 「ぷよぷよ」 をさわったことのない人に気持ちよくプレイしてもらうか。その部分を大切にして、つくりました。 今回は 「ぷよぷよ」 の5作目ですが、今まで 「ぷよぷよ」 で遊んでなかった方の “最初の1本” となってくれればいいな、と思っています。 2004.1.13 ソニックチーム・テイルス(会議室)にて