Difference between revisions of "Interview: Kenji Kanno (2002-06-26) by Sega.jp"

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<pre>セガのゲームを作る、あんな人、こんな人。
 
<pre>セガのゲームを作る、あんな人、こんな人。
  

Latest revision as of 15:43, 1 August 2019

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This is an unaltered copy of an interview of Kenji Kanno, for use as a primary source on Sega Retro. Please do not edit the contents below.
Language: Japanese
Original source: Sega.jp: Creators Note


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  • 日本語
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セガのゲームを作る、あんな人、こんな人。

どんな人が、どんなことを考えて、セガのゲームは生まれるのか?

それぞれのクリエイターが持つ“こだわり”や“発想”、開発中に起きるエピソードなど、普段はなかなか聞けないことを、直接会って聞いてみよう! というこのコーナー。

今回は、人気のドライビングアクション『クレイジータクシー』シリーズのプロデューサー、ヒットメーカー菅野顕二氏に、ついに発売となったシリーズ最新作『クレイジータクシー3 ハイローラー』(Xbox)の魅力を語っていただきました!


菅野 顕二(かんの・けんじ)

(株)ヒットメーカー
企画プロデュース部 副部長
『クレイジータクシー』シリーズ プロデューサー

1968年生まれ A型

■主な経歴

1993年入社。SEGA AM3研に配属。代表作品は『ジュラシックパーク』『ファンキーヘッドボクサー』『トップスケーター』『クレイジータクシー』シリーズ。


—— 『クレイジータクシー』シリーズや、『トップスケーター』を見ていて思うのですが、菅野さんの作品には、なんていうか “かっこよさ” みたいなものがありますよね。見た目や音楽だけでなく、もっとトータルの “かっこよさ” みたいな……。

菅野■『トップスケーター』(*1)という作品は、大きな起点にはなっているでしょうね。

いわゆる時流に合った “かっこよさ” というものを表現したいと思ったんです。それまでは、“かっこいい” という言葉をテーマにしたつくりのゲームは、あまりなかった気がするんで。
 言葉にするとかっこ悪いけど、“かっこいい” と言われるテイストのゲームを生み出していこうということで、チームが動いた結果として、『トップスケーター』が生まれたんです。

まわりのギャラリーに、プレイそのものだけでなく、プレイヤーのファッションやプレイスタイルが見られていることも踏まえて、インターフェースにしろ、その入力方法にしろ、「どのようにやったら」ポーズとしてかっこいいんだろうとか、そこまで考えて作りました。

この経験は、『クレイジータクシー』(*2)に活かされていると思います。

—— アーケードに登場した『クレイジータクシー』は、スタンディングタイプの筐体でしたから、あれもプレイしていると自然に目立っちゃいますよね。

菅野■見られることも意識しましたし、プレイスタイルとして、どっしりと腰を構えて百円玉を積んでやるというのは、かっこよくないなと思ったんです。

なんとなくゲームセンターにやって来て「あった!」とか言いながら、なんとなく筐体の前に立ってコインを入れて、なんとなくプレイして気持ちよくなって、そして、違うゲームをプレイしたり帰ったり……。
 その “構えないスタイル” っていうのを作りたかったんです。


—— それではあらためて、『クレイジータクシー3(以下、『3』)』に関しての質問になります。

まず、『3』はどのようなコンセプトで開発されたんですか?

菅野■『1』(クレイジータクシー)をプレイして、「爽快に走ってることが楽しい」って思ってるユーザーさんが多かったと思うんです。

『2』(クレイジータクシー2)には『2』の楽しみがあるんですが、『1』とは楽しみ方が違うところにあったんです。
 『1』で楽しかった、“ただ走る”、“ただ物に当たる”、“ただ弾ける”、そういう要素を僕らが思っているよりユーザーさんが望んでいたと感じたので、『3』ではいわゆる馬鹿っぽいところを強化して、そういう部分を再び提供したいなと思ったんです。ラフな言葉で言えば、「じゃじゃ馬に戻す」、みたいな感じですね。
 『1』の「乱暴な挙動をしていた荒くれ車を操作するという感覚」をもう1回呼び戻す、という感じで『3』は作り上げています。

各媒体でも言ってますが、今回の『3』は “集大成” なんです。原点回帰というコンセプトでチーム開発を行いました。

—— ちなみに開発期間はどのくらいになるんでしょうか?

菅野■開発期間は8〜10ヶ月くらいで、チームの人数は20人強です。
 尋常じゃないスケジュールでしたね。デザイナーが一番大変で、朝は定時に出社して夜は終電、みたいな生活が何ヶ月も続きました。もちろん何人かは泊まりますし……。

—— 菅野さんも眠れなかったんじゃないですか?

菅野■いや、人間は眠らなければパワーが出ませんから(笑)。
 みなさん、寝たほうがいいですよ、本当に。

—— では、そのクレイジーなスケジュールで完成した『3』は、どのような “手ざわり” に仕上がりましたか?

菅野■コースが3つあって、“クレイジーX”というミニゲーム集もあって、けっこう構成要素の数とボリュームが多いと思うんです。
 で、その3つのコースがどれも同じようなテイストで組まれているかというとそうではなくて、すごくラフに遊べるものと、すごくやり込めるものと、多種多様のものが用意されているんですね。
 だから、ユーザーさんがどこにハマるかというのは人それぞれで違うと思うし、「手にとって遊んでください」とまでは言えるけど、「こうやって遊んで」っていうのはプレイヤーさん側が見つけてくれるのではないかと思います。
 そういう意味で、『3』の仕上がりは、ユーザーさんの期待を裏切ることはありません!

—— では、3つのコースについて、順番に詳しくお話を聞いていきたいのですが。

まず、新コース「グリッターオアシス」のモチーフにラスベガスを選んだ理由はなんですか?

菅野■選んだ理由なんですが、今までモチーフにした街(『1』→サンフランシスコ/『2』→ニューヨーク)は、行ったことのない人でも、なぜか馴染みがあったりする。
 で、次に来るのはどこなのかな? と考えたのが、ひとつ。

それから、“夜”という表現を新しいハードでやってみたいという想いがあったんですね。

“みんなが知っている” と “夜” ということで考えたら、おのずとラスベガスという答えが出てきたんです。

—— その「グリッターオアシス」の見どころを教えてください。

菅野■ラスベガスを舞台にしたって言っても、走ることができるのは、ラスベガスを代表する “ストリップ” と言われるストリートだけではないんです。自然のなかを走ることもできます。
 それは、はるか彼方のグランドキャニオンであったり、フーバーダムであったり、レッドロックキャニオンであったり、そういう自然な地形を走るっていうことは、タクシーシリーズでは心がけたことがなかったんです。
 なので、そういうところも走行してても楽しいですよ。渓谷から落ちていく気持ちよさも表現できてると思います(笑)。

—— ショートカットもできますか?

菅野■もちろんです。

ショートカットをしたいと思った時、『2』の場合だと、自分のスキル、自分のドライビングテクニックがあってショートカットができる。うまくいったことに対して快感が生まれたんです。

ところが、『3』の新しいコースではショートカットできる道を “発見” したことによって気持ちよさが生まれるんです。だから、操作スキルがなくても行ける部分がある。

当然、操作スキルを要求しつつ、さらに気持ちよく行けるところも盛り込まれている。やり込んでいって覚えるほどに気持ちよくなっていく部分もある。
 そういう意味で、やり込み度の高いコースにもなっているんです!

—— 『1』でおなじみのコース、「ウェストコースト」はどうですか?

菅野■『2』で導入した“ホップ(*)”という機能を『1』で使って走ってみたいという願望を、ユーザーさんだけでなく僕も思っていたんです。
 だったら、叶えましょう、と(笑)。それが第1コンセプトですね。

例えば、シスコ坂と呼ばれている、ただでさえ飛び跳ねることが可能だった場所があるんですが、そこをジャンプして屋根の上まで登って走れるといいな、とか。
 本当に純粋に気持ちいい部分っていうのを、さらにパワーアップして表現したいな、と思ったんです。

‘ピザハット’とか‘ケンタッキーフライドチキン’が密集してるエリアがあるんですが、そこも今までひとつのラインでしか走行できなかったのが、色んなところを走行することが可能になってるんです。

より気持ちよくなるライン、より稼ぎたいライン、っていうのがホップがあることにより変わってくると思うんです。
 だから、『1』でやった気持ちよさを残しつつ、新たな戦略を生み出すこともできるので、『1』をやっていた人にも十分に楽しめる内容になっていると思いますよ!

 	—— 『2』の「スモールアップル」は、夜のニューヨークになって、がらっと雰囲気が変わりましたね。

菅野■青空でなければ『クレタク』ではない、みたいな印象が強いのではないかというのがあって……。夜の『クレタク』っていうのも作ってみよう! ということでニューヨークの夜を用意したんです。

スモールアップルの特徴としては、Xboxということでポリゴンもタフになっているので、ビルの建ち並ぶ中を、気持ちよく飛び越えてショートカットできたりします。そういう発見をしたことで快感につながる道も新たに盛り込んだりしました。
 わかりやすいのは地下鉄かな。『2』では地下鉄は使いづらかったので、みなさんは行かなかったと思うのですが、今回は2ヶ所ほど思いっきり地上に出して使いやすくしました。

それから『2』では、デザインでもやり残したところがあったので、セントラルパークひとつにしても、作り込みというか、見た目の印象が変わってきてると思います。なので、『2』の時とはまったく別のコースとして遊んでくれたらうれしいかなと思います。

—— 3つのコースそれぞれが、新鮮な気持ちで遊べるというわけですね。

そこに登場するお客さんも今まで以上にクレイジー度も高いし、本当に信じられない客まで現れますね(笑)。

菅野■お客さんに関しては、場所と時間帯にイメージできるものを考えたんです。
 あとは、馬鹿っぽく、いきすぎって思うくらいにやりました(笑)。とくに団体客がパワーアップしています。

早く着いた時、遅すぎた時など、細かくボイスも持たせてあるので、いわゆる“個性”ってものを感じてほしいです。
 個別のモーションをすべて見るだけでも大変だけど、見るだけでも楽しいので、ぜひすべてを見てほしいな、と。

—— それと、今回のミニゲーム(クレイジーX)は、前作以上にバカバカしいですね(笑)。アイデアは、どなたが考えるんですか?

菅野■クレイジーXは、メンバー全員で考えて、メンバー全員で作りました。

ちなみに僕は、シリーズを通してはじめて、全部をクリアできなかったです。
 今までの『1』と『2』のミニゲームっていうのは、それをこなしていくとドライビングテクニックが上がるっていうものが多かったですよね。今回の『3』は、そういうものもあるんですが、馬鹿っぽく楽しめるだけのもの、あるいは運も必要になってくるタイプのものがあるんです。基本的に『1』や『2』とは趣向が違ってるんですね。
 だからクリアできないのは、運を必要とするものだったと思います(笑)。 ……(10秒ほどの長い間) いや、そうでもないな。きっと腕が衰えたんだ(笑)。

—— 最後になりますが、次はどんな作品をつくってみたいと思いますか?
		
		
		
菅野■今回、続編というものを作ってみて、新しいものを提供するということもやってみたいと思っています。

それから、喜んでくれたユーザーさんに恩返しをして喜んでもらう、っていうのも僕にとってはひとつの喜びであるなと感じたのです。
 だからユーザーさんが望むものであれば、それをフォローしていきたいな、と。

やっぱりモノを作りたくて、こういう会社に入って毎日を過ごしているので、「あ、こんなモノつくったんだ!」って驚かせたい気持ちはあります。それを自分の持てるキャパシティのなかで、バランスよくやっていきたいなと思います。