Interview: Samba de Amigo: Party Central Developers (2023-08-30) by Denfaminicogamer

From Sega Retro

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This is an unaltered copy of an interview of Samba de Amigo: Party Central Developers, for use as a primary source on Sega Retro. Please do not edit the contents below.
Language: Japanese
Original source: Denfaminicogamer

An interview with Shun Nakamura, Yoshinari Amaike, Hajime Iwamoto, Mariko Kawase, and Naofumi Hataya, developers of Samba De Amigo: Party Central.


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──本日はよろしくお願いします。今回は人数が多いこともありますので、まずはみなさんのお名前と担当されたパート・役職など、軽く自己紹介をしていただいてもよろしいでしょうか。

天池嘉成氏(以下、天池氏):
 天池嘉成と申します。今回はアートディレクションをやらせていただきました。よろしくお願いします。

巖本肇氏(以下、巖本氏):
 巖本肇と申します。リードプログラムをやらせてもらっています。

中村俊氏(以下、中村氏):
 中村俊です。プロデューサーをしております。よろしくお願いします。

川瀬茉莉子氏(以下、川瀬氏):
 川瀬茉莉子です。リードプランナーをしています。

幡谷尚史氏(以下、幡谷氏):
 幡谷です。サウンドセクションのマネージャーをしております。

──『サンバDEアミーゴ』は異色のゲームだと思うんです。プレイした人みんなを笑顔にする不思議な魅力があると言いますか……。中村さんがいらっしゃるので1作目の誕生秘話などもうかがいたいのですが、まずは今回発売される新作『サンバDEアミーゴ:パーティーセントラル』の特色やポイントをお聞かせいただけますか?

幡谷氏:
 僕からはサウンドチームがすごく頑張った部分を語らせてください。じつはセガのサウンド組織はいま、もともと分かれていたチームが合併して、ひとつの大きなチームになっているんです。

そんな混合されたサウンドチームの若手からベテランが手がける楽曲は、なかなか聞きごたえのあるものになっていて、たとえば協力プレイに流れる曲でいうと「最初は80年代風のバラードから入って急にミュージカル調になる」というように、どんどん曲調が変わっていくものもあります。

 コロナ禍でストリーミング・レコーディングという形にはなりましたが、ボーカルはギリシャ、ディレクションはニューヨーク、そして日本という3か国の連携で収録した曲もありました。

 ほかの曲もいろいろ気合が入っていますが、多彩な曲をプレイして疲れたところで最後の「ゴスペルのスタッフクレジット曲で癒される」というダイナミックな構成になっています。この曲はもちろんプレイアブルバージョンがありますので、ぜひお腹いっぱい楽しんでいただけたらと思っています。

天池氏:
 最後の曲は僕も好きです。

中村氏:
 みんな好きだよね。聞きながら仕事してるくらい(笑)。

川瀬氏:
 アーケードの譜面を作っている人たちとも一緒に作業をしていたのですが、リズムゲームでゴスペルが出てくるのはなかなかないので「かなりおいしい」という話をしてました。

──ちなみに、発売時に収録される曲数というのは全部で何曲あるのでしょうか?

川瀬氏:
 42曲ですね。

──『サンバDEアミーゴ』というタイトルではあれど、42曲のなかにはミュージカル調もあるし、ゴスペルまである。サンバだけじゃなくいろんな音楽が楽しめるということなんですね。

中村氏:
 はい。あまりに多彩な楽曲が収録されているため「タイトルを “サンバ” から変えたほうがいいのではないだろうか」という話もあったんです。でも最終的に「アイコンとして残しましょう」となりました。

──いろんな音楽があることで「サンバ」と聞いてちょっと気後れしている方にも安心して入ってもらえるかもしれませんね。

中村氏:
 そうですね。そもそも、初代『サンバDEアミーゴ』の企画を出した時点で、僕がそこまでサンバに詳しいわけでもなかったので(笑)。

──中村さんにぜひお聞きしたかったのですが、初代『サンバDEアミーゴ』は、どのような経緯で開発されたのでしょうか?

中村氏:
 僕が当時入社して2年目か3年目ぐらいのときなかなか進まないプロジェクトがあったんです。「このままではマズいな…」と思い、企画書を書いて当時の上司の机の上に置いて帰りました。そしたら次の日その上司に呼び出され、「おもしろそうだからやってみよう」みたいな話になったことがきっかけです。

 僕はまだ経歴も浅かったので、新人が集まるような形で制作に入りました。当時の部署はコンシューマしか作っていなかったのですが、おもしろいものができたので「アーケードでやってみるか」と軽い感じでアーケードの部署に話を通してみたんです。マラカスを振るときのセンサーなどについても相談しました。

 実際にアーケードを作るとなると、「ロケテスト」をやることになるんです。そのロケテストで儲けが出たら家庭用ゲーム機で製品化しようという話になりました。

──なるほど。ロケテストではどのような反応を得られたのでしょうか?

中村氏:
 ありがたいことに、ロケテストを行ってから評判は急上昇しました。まだ3曲ぐらいしかないなかでアーケード機のショーに出したところ、ランキングがグングン上がっていったので、製品化が決まりました。

 その後タイトルがリリースされ、アーケードとしてすごく盛り上がったんです。せっかくだから家庭用を検討したいとなったのですが、「これってアーケードでしかできないよね」となり、断念をしようとしました。

 でも、ダメもとで、ドリームキャストを作っている部署の方に「家庭用ゲーム機で出せますか?」と相談したところ、「振っているマラカスの高さを測れるシステム」を作っていただいたのです。「うおー! スゲー!」と盛り上がりました(笑)。

──初代『サンバDEアミーゴ』は、最初からアーケード版として制作したのではなく、できたものを活かせる場所としてアーケードが選択されたんですね。そこから家庭用ゲーム機に戻ってきたというのも、作品の持っているパワーを感じさせられます。

中村氏:
 とはいえ、マラカス型の機器が1万円ぐらいしたので、結果的にセールスはそんなに振るわなかったんですけどね(笑)。それでも当時のセガの勢いに乗らせてもらって、いろいろやらせていただいたという感じでした。

──『サンバDEアミーゴ』が出た当時というのは、いわゆる「音ゲー」が一大ブームとなっていた時代でしたが、そういった世間の流行を意識して「音ゲーでなにか作れないか」という方向性での開発だったんでしょうか?

中村氏:
 当時は『ビートマニア』や『ダンスダンスレボリューション』がめちゃくちゃ流行っていた時代でした。僕としてはそういった「ストイックなものと違う形」でもおもしろいのではないか、という感覚があったんです。

 みんなでカラオケに行ったときに悪乗りしてふざけるようなノリ、お酒を飲んで騒ぐようなノリがあっても楽しいのではないかと。そういった「ふざけるゲーム」「お酒飲んだときでもできるゲーム」を作りたいというのが、開発の第一歩でした。

──『サンバDEアミーゴ』と言えば、“ポーズを決める”という当時の音ゲーにはなかなかない要素が印象的でした。いい意味で「バカっぽい」という魅力もあったように感じます。いまお伺いした話からすると、当初からそういったニュアンスを狙っていたのでしょうか?

中村氏:
 そうですね。当初、コントローラーではポーズの判定などができなかったのでボタンを押す機能などで代用していたんです。でも、いざ本番に実装するとなったときに「そもそも音ゲーなのに “止まる” ってなんだよ」という意見が出て(笑)。

 とはいえ「これぐらいしか特徴がないんだから搭載しよう」と議論のうえポーズを実装したところ、ありがたいことに好評をいただきました。みなさん笑ってくださったのでよかったと思っています(笑)。

 じつは最新作でも、その時得た知見が入っています。ポーズのマークのなかに、足が斜めになっていたり、挙げていたりする絵があるのですが、ゲームとしては本来その命令に従う必要はないんです。

 先行して遊んでいただいた方々のプレイを見ていると、ついつい絵に引っ張られて足が斜めになったり、頑張ってポーズを合わせてくださったりしていました。そういう見た目に引っ張られる「謎の動き」があることを、開発メンバーにも共有し最新作でも入れたのですが、やはり同じように絵に合わせて人がまねをしてくれるんですね。「時代は経っても同じようなリアクションをしてもらえるんだ」と感慨深くなったりもしました。

──最新作はNintendo Switch、ひとつ前はWiiで発売されていましたので、ゲームプレイに合わせやすいコントローラーでした。一方、初代のアーケード版や先ほどお話にあったドリームキャストのマラカスコントローラーのような、専用のコントローラーを用意するというのは相当の苦労がありますよね? そこをあえて用意したのは当時のセガの気風というか、「おもしろいし、新しいからやっちゃおう」といった雰囲気があったのでしょうか?

中村氏:
 そういう社内の空気はありましたね。もちろんなんでもかんでも作っていたわけではないのですが、変なゲームを考えた人がいたら「おもしろいからそれを本当に作れるか考えよう」という、リアクションの速さや寛容さみたいなものに助けられました。

 それと、当時のセガのなかでは “分社” という動きがあり、分社によって個々の裁量権が大きくなったんです。そういった動きもあり「チャレンジしてみよう」という枠が広がった観点もあるかもしれません。

──じつは若いころにゲームセンターでバイトをしていた時期がありまして、90年代後半から2000年代前半の音ゲーの盛り上がりを間近で見ていました。そのなかでも、『サンバDEアミーゴ』を最初にみたときのインパクトはすごくて(笑)。「とんでもないゲームが出てきたな」と強く印象に残っています。「マラカスを振る」という行為をゲームに取り込もうと思ったきっかけというのはあるのでしょうか?

中村氏:
 もともとの発想でいうと、私が大学生のころお笑い芸人みたいなことをやっている先輩たちの出し物でマラカスを持って踊る機会があり、じつはそこからきているんです(笑)。

 いざ作ってみたところ、目の前にマラカスが置いてあると“なぜか握ってみたくなる”不思議な魅力があって(笑)。これも、最初から狙ったわけではないのですが、そういう効果も生まれてよかったと思っています。

──たしかに目の前にマラカスがあったら、握ってみたくなりますね(笑)。

中村氏:
 じつは、本場ブラジルのカーニバルでマラカスは振ってないんですけどね(笑)。ただ、「カーニバル」というとおもしろい話がありまして……。

 先ほどもちょっと触れたとおり、『サンバDEアミーゴ』は新人や若手が集まって作った作品ですが、その年の新人に「ブラジルのサンバカーニバルで優勝したチームに属していた」というすごい経歴の人がいたんです。これはいいと思って「じゃあうちのチームでやってもらおう」と入ってもらいました。

 カーニバルではマラカスを使わない代わりに「サンバ・シェイカー」という楽器を使うそうで、その振り方のコツを教えてもらうなど、当時はその新人さんが主体になって「サンバがどういうものなのか」の共有を深めていきました。

 その方は社内でのプレゼンなんかも上手にやってくれたので、いろいろありがたかったです。

──そういった経験者とのやり取りのなかで、曲と体の振り付けがマッチするようなゲーム性というのを組み立てていったと。

中村氏:
 はい。たとえば「手のポジションを上・中・下の3段階に分ける」とか、そういうことは最初の段階から決めてありました。当時のスケジュール帳を見るとすごく短い期間でこのゲームを作っていてビックリします(笑)。

 初代『サンバDEアミーゴ』は「プレイヤーの盛り上りに合わせて背景も盛り上がっていく」というコンセプトがあり、そこだけはこだわったのですが、こういうこだわりをチーム内でも共有できていたおかげで、素早い制作ができたのかもしれません。

 一方でほかの部分は若手のみんなでかなり自由にやっていて、その結果としてある種“穴だらけ”なゲームでもあるのですが、それも粗野な感じでまとまりが出たのでよかったと思っています。

──当時の楽曲を担当された幡谷さんは、作曲にあたって「動きのある音ゲー」という条件も要求されたかと思いますが、なにか難しかったことなどありますか?

幡谷氏:
 『スペースチャンネル5』という音ゲーを担当していた時期だったこともあり、自分で音ゲーの楽曲を作るからには「プレイとシンクロする要素を譜面のなかに組み込みたい」という観点でいろいろ考えました。

 結果的にみんなで楽しく、最後は合唱も入ってくる感じでまとまりました。後々『ファンタシースターオンライン2』のロビーで使われたりもして、広がってくれてよかったと思っています。

中村氏:
 「Vamos a Carnaval」という曲ですね。

──ラテン系の曲を作る上で、どういった点を意識しましたか?

幡谷氏:
 単刀直入に「レッツゴーカーニバル!」というテーマだったので、お祭り感があり「さぁ、これからとことん遊ぶぞ!」という、気持ちを高ぶらせるものになったらいいなと思って作りました。

──チームのほかの方の『サンバDEアミーゴ』との関わりというのはどういったものだったのでしょうか?

天池氏:
 僕は中村と同期だったので、作っているのを横で見ていました。「すごい勢いでできあがっていくな」って(笑)。

中村氏:
 ドリームキャストでマラカスのコントローラーを作るのは時間がかかりましたけどね。

巖本氏:
 あのマラカス、重たいんですよね(笑)。

中村氏:
 そうそう。アーケード版はとくにケーブルがついていて、シャワーのホースみたいに筐体とくっついているんですけど、いまだと筋トレグッズにありそうな重さです。テストプレイなんかで夜通し振ることもあって、みんなどんどん疲弊していきました(笑)。

──その重さというのは制作段階で意図的に重くしていたのでしょうか?

中村氏:
 いや、やむを得ずの重さでした。「重い重い」とよく言われました(笑)。

巖本氏:
 僕はゲームセンターに通ってアーケードの『サンバDEアミーゴ』を遊んでいた側の人間だったので、いまは作り手として関われることが感慨深いです。

川瀬氏:
 私も当時は高校生だったので、学校帰りによく遊んでいました。同世代のデザイナーさんとも軽くお話したんですけど、やっぱり学生時代に『サンバDEアミーゴ』に出会っていた人たちは最新作でみんなテンションが上がるというか、「あの曲は今回も収録されるだろうか?」みたいな話題で盛り上がったりしていました。

──『サンバDEアミーゴ』のコンセプトとして中村さんから先ほど「ふざけるゲーム」を目指したというお話がありましたけれども、当時遊んでいてそのコンセプトの感覚はありましたか?

川瀬氏:
 正直なところ、あまりそういう感覚はなかったです。高校から帰る途中でゲームセンターに入って、『ダンスダンスレボリューション』などいろんなゲームで遊ぶなかに『サンバDEアミーゴ』もあった感じです。遊ぶ上でもハードルはぜんぜん感じていませんでした。

 あとから中村さんに「飲んだあとに遊んでもらう」みたいな話を聞かせてもらって、「あっ、私ってターゲットと違ったんだな」と思ったぐらいです(笑)。ただ、なにぶん学生の身分だったので、昼から夕方しか知らないんです。夜は “お酒のノリ” みたいな感じだったのでしょうか?

中村氏:
 いやいや、みんなが実際にお酒を飲んで遊んでいたかというとそんな訳でもなく(笑)。あくまでも「そういうノリで」っていうことです。

──今回、Nintendo Switchで『サンバDEアミーゴ』を復活させるにあたって、注力した点についてお聞かせください。

天池氏:
   いちばん最初は「当時のものを復活させる」と聞いて集まったのですが、いつのまにか丸ごとリファインするという事になっていました(笑)。最初のビジュアルを決めるのに苦労した印象です。

──最初に決まったビジュアルはどのようなものだったのでしょうか?

天池氏:
 フェスの絵ですね。このビジュアルが決まってからは一気に進んだのですが、そこまでは悪戦苦闘でした。ちょっとカッコいい要素を入れてみようという話のなかで「アミーゴ君」がいなくなったりして(笑)。

──まさかの主人公不在の可能性まであったとは(笑)。それほどまでにネタ出しをされたというのは、やはり「心機一転で新しいものを作ろう」という意識が強かったのでしょうか?

天池氏:
 そうですね。いろいろと試行錯誤を重ね、やっぱりこれまでの作品のコンセプトは外せないという話になり、「アミーゴ君は必要だ」となりました。そこから、中村さんの「フェス感」というキーワードに立ち返る形で、やっと作品のラインが決まった感じでした。

川瀬氏:
 「楽曲のジャンルをどうするか」という議論もあったんです。最新作には42曲の楽曲が収録されているのですが、これを全部サンバでいくべきかどうかも検討の余地がありました。結果として、今回は他ジャンルの曲もしっかり収録されています。

中村氏:
 最初にもちょっとお話しましたが、僕はサンバ系の音楽に詳しいわけではないんです。

 当時は「日本から世界へゲームを送り出す」という意識はあまりなくて。サンバの方向性にしても本場のサンバというよりも日本人がイメージしやすいものに偏っていた面は正直ありました。でも、最新作はそういうわけにはいきません。

世界中の人に遊んでもらうことを目指したときに、「サンバ」で統一してしまうとターゲットが狭くなってしまうから、「いろんな音楽を取り入れられるとよい」、「いろんな音楽が一堂に会する場所ってどこだろう」と考えたところ、それは「フェス」みたいな場所なんじゃないかと思いました。

 そこまで考えて、「あとはよろしく!」と試行錯誤してもらった感じです(笑)。

──なるほど、そういった方向性の結果として、サンバだけでなくEDMやゴスペルも収録されているということですね。

川瀬氏:
 そうなんです。そのため「別ジャンルの曲ともマッチするようなステージを作らなきゃ」「でもオリジナルの雰囲気も残さなきゃいけない」という苦労もありました。

──ジャンルが多岐にわたるとなると、曲作りにも苦労があったのではないですか?

幡谷氏:
 はい。全体のバリエーションのためにも内作で作る楽曲は、お借りしたライセンス楽曲の隙間を埋めるようなジャンルやノリ、プレイスタイルや1曲の中の構成など、役割を決めて揃えていきました。

──デザイン面でいろいろと試行錯誤をされたというお話ですが、方向性が決まってからはスムーズに作っていけたのでしょうか?

天池氏:
 いろいろなシチュエーションを用意して、幅を出せるように考えて作っていきました。

中村氏:
 さまざまなジャンルの曲を収録する以上は、ゲーム側でもいろんな受け皿が必要になります。とはいえ、もともとのコンセプトである「ちょっとお気楽な楽しさ」というノリが消えないように、どこに行ってもそれが感じられるようにというのは意識してもらいました。

天池氏:
 デザイン面でひとつお話すると、アミーゴ君はカスタマイズが可能になっています。少ないなりに、プレイヤーによって幅は出せる設計になっていますので、皆さんなりのアミーゴ君に仕立てていただければなと。

川瀬氏:
 カスタマイズのアイディア出しも楽しかったです。

中村氏:
 カスタマイズ機能の幅みたいなものは昔の「自由にやろう」みたいなノリをもう一度できた感触があって、よかったです。

──自由と言われると逆にハードルも上がりそうな気もしますが、作っていてそのあたりはどうでしたか?

天池氏:
 確かに “自由” というのは良し悪しで、取り留めもなくなりそうではあるんですよ。でも「ダメ」と言われなければいいやという感じで、広げられるだけ広げていきました(笑)。もちろん完全に自由というわけでもなく、制限のある範囲でではありますが。

巖本氏:
 サブキャラがいっぱいいるのも楽しいですよね。

天池氏:
 そうですね。このサブキャラは、ゲームが盛り上がってくると観客やダンサーみたいな感じでステージに出てくるようになっています。これも幅広く、いろんなキャラクターを出せるようにアイディアをひねりました。

中村氏:
 ドリームキャスト版と比べて、サブキャラは超絶進化しています。

天池氏:
 当時のものはポリゴンっぽすぎて持ってこれなかったので、完全新規に起こしました。

──本作はNintendo Switch、Meta Quest、Apple Arcadeというかなり特殊なマルチプラットフォームとなっています。こういった形式でゲームを作られてみて、いかがでしたか?

中村氏:
 今回は超変則的なマルチプラットフォームとなりました。我々は『ソニック』シリーズを作っているということもあり、ある程度キャリアのなかで「マルチプラットフォーム」という形には馴染みがあります。それでも今回は特殊で、いろいろ大変でした。Meta Questは今回初めて触ることになりましたし、Apple Arcadeの操作方法もまるで違います。

 そのためどのプラットフォームも、とても同じようには作れません。一方で、ぜんぜん違う作品にしてしまうわけにもいきませんから、プログラマーも企画も僕も、やりとりを繰り返しました。チームだけでなく、セガという会社の視点からも、かなり大きなチャレンジとなったように思います。

天池氏:
 表示ひとつ取っても、たとえばNintendo Switchは3D部分もありつつ基本的には2Dで表示しています。ところが、Meta Questの場合はすべてを3Dで作らなければなりません。そうなると、2Dの部分というのをそのままにはしておけないので「じゃあゲーム中にどう表示しよう」とずっと苦労しながら作り上げていきました。

──労力が3倍かかるようなものだったわけですね。

中村氏:
 実際、3本のゲームを作ったようなものだと思っています。たとえばVRも出すにしてもいままで平面的に考えていたポーズを3D空間上での表現を考えなくてはいけなくて。

川瀬氏:
 デザイナーさんやプログラマーさんからも「本作のポーズは2Dなのか3Dなのか」と最初にかなり聞かれました。結局のところ、すべて3Dで作ることになりました。

──制作に関しては、最初から仕様をしっかり決めて作り始めたということでしょうか? それとも作業中にスクラップ&ビルドというか、試行錯誤しながら組み上げていった感じでしょうか?

中村氏:
 プラットフォームごとに作業が進行していくなかで、「片方はこの仕様でいけるけどもう片方はそうはいかないぞ?」みたいなのが見つかってくるんです(笑)。そのたびにみんなで話し合うような感じでした。

川瀬氏:
 仕様書も最初に書いている段階では「これで両方いける!」と思っていても、実際に作っていくと問題が出てきて、デザイナーさんやプログラマーさんに「それぞれ別で作ってください」とお願いするようなケースもありました。

天池氏:
 最初はゲーム内で飛んでくるノーツ【※】も2Dだったのですが、最終的に3Dにしました。

※ノーツ
ゲーム内に流れてくるリズムのアイコン。配置されたノーツに合わせてタイミングよく操作していく。形はゲームによって異なり、矢印や○×△□などさまざま。

川瀬氏:
 ノーツの見せ方も最後までずっと相談していましたね。

──ちなみに、チームは全部で何人ぐらい参加していたのでしょうか?

中村氏:
 30人ぐらいですかね。

──ゲームを3本作るような労力を30人でしていたというのは、いま笑顔で話してらっしゃいますが本当にさまざまな苦労があったかと思います。

巖本氏:
 そうですね。「VR対応が初めてだった」ことが多分にあるとは思いますが、それを加味しても大変な作業だったと思います。Nintendo Switch上で表示する3D物体とヘッドマウントディスプレイを被って表示する3D物体は別物ですから。

中村氏:
 表示されたものが似ていても、操作や感覚もプラットフォームによって完全に違うんです。そこの擦り合わせは企画、デザイン、プログラムのみんなが苦労してやってくれました。

──それぞれのプラットフォームで出すにあたって、遊び方や体験の特色みたいなものはありますか?

川瀬氏:
 Nintendo Switch版とMeta Quest版は「コントローラーを握って体を動かして遊ぶ」という体験の部分や根っこの部分は同じなので、それぞれのプラットフォームならではの体的体験を楽しんでもらいたいです。Apple Arcade版はタッチ操作などを用いて遊ぶので、譜面もガラッと変えて、画面に干渉しながら楽しむゲームになっています。

 たとえば体を動かす場合、「左側にノーツがふたつ来る」みたいな “ひねる” 動作が楽しさに繋がっていたりするんですけど、指で操作すると両手がクロスして画面が見えなくなってしまうため仕様を分けています。

中村氏:
 通常なら、マルチプラットフォームというとひとつ遊べばほかのプラットフォームでプレイした感覚もなんとなくわかると思うのですが、本作はそもそもデバイスがぜんぜん違うし、遊び方の環境も大きく異なります。都合上「マルチプラットフォーム」という言葉を使ってはいますが、ある意味ではそれぞれ別物と言えるかもしれません。

 ぜひ異なるプラットフォームで遊んだ方と「こっちにはアレが入ってる、コレがちょっと違う」みたいな話をしていただければと思います。

幡谷氏:
 おかげで僕は毎週締め切りに追われていました(笑)。

中村氏:
 そうそう。スタッフは大まかにNintendo Switch、Meta Quest、Apple Arcadeでそれぞれチームを作って分かれているのですが、幡谷さんは全てのチームに携わっているから、毎週なにかしらの作業の締め切りが来たり、うっかりすると同日だったり、なかなか終わりが来ない状態でしたね(笑)。

幡谷氏:
 すごく大変でした(笑)。

──本作をNintendo Switchで発売するにあたって、低年齢層への訴求などは意識されましたか?

中村氏:
 そのへんを特別に意識したということはないですね。ただゲームとしてはすごくシンプルなので、大人の方も、子供の方も、誰が遊んでも楽しんでいただけると思います。

──本作は最大8人でのオンラインプレイに対応しています。このオンラインプレイというのは、開発当初から実装を予定されていたのでしょうか?

中村氏:
 新作を出すにあたって、いままでとの違いを明確に出せる部分がほしいと思いました。ここ数年はゲーム業界でバトロワ(『PUBG』、『フォートナイト』、『エーペックスレジェンズ』など)が流行っているので、それを音楽ゲームでやりたいなと。対戦だけどみんなで踊りながら楽しめることができたらおもしろいと思い、軽い気持ちで話を出したのですが、実際に実装するとなったら大変でした(笑)。

天池氏:
 音楽ゲームでオンラインというのは「プレイヤー間で音を同期させるのかどうか」という部分から考えなくてはいけないんです。でも「そこまで厳密にはやらない」という方針を決めてから、なんとか実現することができました。

──いわゆる「音ゲー」とRPGやアクションゲーム的なものでは音楽を作る作業にどれくらい違いがあるのでしょうか?

幡谷氏:
 ぜんぜん違いますね。もっと言うと、家庭用ゲーム機の音ゲーとアーケードの音ゲーでも文化が違うんです。

 『リズム怪盗R』とか『スペースチャンネル5』みたいなゲームはストーリーがあるため、「そのストーリーの進行に合わせた長いゲームプレイの中で手応えを得ていく、という楽曲を用意する」というトータルの設計が重要な作り方になります。

 一方でアーケードの場合は、どちらかというと「曲とプレイありき」です。非常にテクニカルな部分を追求するものが多いと思います。楽曲も高難易度の譜面のためにすごく細かい音楽的ギミックやパッセージが求められたりもします。

 そのうえで、それぞれのゲームで遊ぶ人たちの層の違いもあります。今回はもともとアーケードゲームだった『サンバDEアミーゴ』を作っていくうえで、「バカ楽しい!」に貢献すべく、さまざまなジャンルの曲の盛り上がりに、どう音の演出を合わせていくかを考えたり、オリジナル曲を作るならプレイヤーにどう遊んでもらうかの抑揚曲線を考えたり、そういった作り方をしていました。

中村氏:
 幡谷さんと仕事をすると、抑揚曲線とかそういうことを細かく聞かれるから、スタッフには「答えられるように考えておいてね」と言っていました(笑)。

 一方で、本作の「ポーズ」の概念は『スペースチャンネル5』などにも存在していて、幡谷さんの言葉を借りると「キメ」というものになるのですが、こういった部分はお互いに似たような文化があったりもするんですよね。

 制作スタッフのなかには過去にアーケードの『maimai(マイマイ)』を作っていた方もいるし、家庭用ゲーム機で『初音ミク』のゲームを担当されていた方もいて、いろんな音楽ゲーム、リズムゲームの知見をミックスしながら作っています。

 とはいえ『サンバDEアミーゴ』は音楽ゲームとしてかなりアウトローなので、「これでいいのかよ!?」みたいな事を言われたりもしましたが(笑)。

天池氏:
 ビジュアル的にもアウトローですよね。音ゲーのセオリーを無視して作っている部分があるというか(笑)。

中村氏:
 そうですね。たとえば「ノーツを見せる」という観点だと、音ゲーのセオリー的には「ラインの前の方がうるさい」のはふつうダメなんです。でも私としてはそこが盛り上がってる方が大事というか。

川瀬氏:
 「音ゲーらしさ」との乖離に関しては、レビューなどの場でも工夫が必要でした。単にリズムゲームとしての部分だけを見てもらうと、とてもストイックなフィードバックが返ってきてしまうんです。

 「これはパーティゲームなんだ、エンジョイするタイトルなんだ」と理解してもらうために最初に「マラカスを引き抜く儀式」を入れたりしました。ユーザーが画面に対して真顔で立つのではなく、「遊ぶんだ、楽しむんだ」という意識で向き合ってもらえるように作っています。

 そうした部分から、ハイスコアを狙うだけではないリズムゲームの楽しさを感じてもらえたらなと思います。

中村氏:
 本作にはゲーム中にルーレットが回って、「ハプニング」が起きるというランダム要素があります。「譜面通りにいかに正しくコマンドを入力するか」というリズムゲームの考えからすると、こういうランダム要素はあり得ないと思うんです。あり得ないんだけど、『サンバDEアミーゴ』にはある(笑)。

 なので、本作は「突然なにかを振られたときにどうパフォーマンスを返すか」みたいなある種の “アドリブ” が大事なタイプのゲームです。

 CD音源は、いつも同じ音が流れるじゃないですか。でもライブにいくと、ちょっと違った弾き方だったり、盛り上げのコールが入ったり、そのステージならではの変化によって高揚感が生まれたりすると思うんです。その感じをゲームのなかに取り入れたいと思っていろいろと工夫しました。

──「音を楽しむ」と書いて「音楽」ですが、まさにその言葉を体現したようなゲームになっているということですね。

中村氏:
 後付けすると、そういう話になります(笑)。「音楽を聞いて体を動かす、それが楽しい」というのは楽器が弾けない僕のような人間でもわかるので、人間の本能的な部分なのかもしれません。『サンバDEアミーゴ』でその楽しさをうまく引き出したいと思っています。

巖本氏:
 昔はマラカス型の機器を振ってもらってたわけですが、最新作ではNintendo SwitchのJoy-Conを両手に持つ形となります。Joy-Conはマラカスを題材とした『サンバDEアミーゴ』にピッタリなので、復活させるにはいい機会だと思って取り組み始めたのですが、じつはここが思った以上に大変でした(笑)。

 いつまでたってもJoy-Conでマラカスの仕様が再現できず、企画の方とプログラマーさんと長いあいだ試行錯誤を繰り返していました。

──Joy-Conとマラカスは相性がいいように思えますが、実際にどういった部分が難しかったのでしょうか?

巖本氏:
 マラカスはもちろん振るものなのですが、ポーズとの兼ね合いもあるので「どの向きからどう振るか」という大きな動きに加えて3次元的な認識も求められるんです。そのあたりで精度をあげるために、判定調整に苦労しました。

──なるほど。その苦労の多かった調整が、最終的に満足のいく実装になった決め手というのは、どういった部分にあったのでしょうか?

巖本氏:
 とにかく愚直に調整し続けた結果です(笑)。「どのぐらいの角度なら振ったと認識するのか」、「遊ぶ人がどういう動きをするのか」などひたすらプレイテストを繰り返して、データを積み重ねていきました。

川瀬氏:
 『maimai』などアーケードのリズムゲームを作っていたプログラマーの方にも助言をもらいまして、遊んでいる人に「振った!」と実感を持ってもらうにはどういうタイミングで判定を拾えばいいのかなど、いろいろと勉強になりました。そういった調整を入れ続けたおかげで、プレイヤーの方が「マラカスを振っている」と実感してもらえるようなゲームに仕上げられたと思います。

中村氏:
 Nintendo Switchが発売される前に任天堂さんから実機を見せてもらった段階で「これなら『サンバDEアミーゴ』やれるじゃん」と思いました。そのときに川瀬さんと一緒に音楽ゲームを作ろうと別の企画を立てて動いていたんですけど、まさにJoy-Conの仕様の部分でつまづいていたんです。

 だから、『サンバDEアミーゴ』は私たちにとってのリベンジでもあるんです。しかしながらリベンジでもやっぱり大変で、いろいろと苦しみはありましたが、前の経験も活かす形でよいところに落とし込めました。

川瀬氏:
 当時は「企画のアイディアでなんとかしよう」という面が強かったのですが、今回はプログラマーさんとの二人三脚で問題へ挑めたおかげで乗り切れました。

──その気持ちよさはぜひプレイヤーの皆さんに楽しんでもらいたいところですね。

巖本氏:
 そうですね。ぜひJoy-Conを振っていただいて、直接的な感覚で楽しんでいただければと思います。

川瀬氏:
 Nintendo Switchは二人対戦のモードのなかに「アピールバトル」という、戦って負けた方がアピールをするルールがあります。平たく言うとルーレットに従って罰ゲームが出るんですけど、結局それを実行するかどうかはユーザーさんに委ねられている部分ではあって……。チーム内でも「これをわざわざ入れてもユーザーさんは本当にやるのか?」みたいな(笑)。

中村氏:
 「それはリズムゲームではないのではないか」みたいな(笑)。でもそれを入れるのがうちのゲームなんです。

川瀬氏:
 最終的にはおバカな感じで、うまいことゲームのなかに取り入れられたのではないかと思います。ぜひ家族や友だちと遊ぶときは楽しんでほしいです。

──その罰ゲームは具体的にどのような感じのものなのでしょうか?

川瀬氏:
 基本的にはルーレットがふたつ出てきて、それぞれにお題みたいなのがあり、組み合わせを楽しんでもらう感じです。「変顔で」「動物のものまねをする」とか「すごい勢いで」「〇〇する」みたいな。

中村氏:
 ゲームプレイに熱中してもらうだけじゃなくて、ゲームへの反応という形でプレイヤー同士に会話が生まれる、コミュニケーションを取る、というのが本作の目指す楽しさでもあります。制作にあたり、「大変」とか「本当に必要ですか?」とか言われてしまいましたが、「これはやらないとダメだろう、やるしかないだろう」と実装にこぎつけました(笑)。

巖本氏:
 でも、レビュー会だとなかなかやってもらえないんですよ。みんな恥ずかしがってしまって(笑)。

川瀬氏:
 みなさんビジネスモードで来てますからね。

中村氏:
 さっき「マラカスを抜く儀式」の話があったと思うんですけど、海外の方に遊んでもらうと大体マラカスを抜いたあとにポーズを取るんです。日本の方はマラカスを抜いたあとにおどおどする。このへんは国民性を感じる部分でもあって、「そんな恥ずかしがり屋の日本人の心をどう動かすのか」はひとつの課題でした。

 そこを考えたとき、日本人は指示があるとなんとなく「やらざるを得ない」みたいになる感覚があり、「これやって!」と提示することで日本でもやってもらえるのではないかという思いからルーレットの仕様にしました。

──ここまでお話を聞いていて、みなさんがすごく楽しそうに話されているのが印象的でした。作り手側が楽しんで制作しているゲームなんだな、ということを強く感じました。それでは最後に、本作を楽しみにしている方々へひと言ずつメッセージをお願いします。

川瀬氏:
 本作のNintendo SwitchはJoy-Conを簡単に振るだけで遊べるようにしっかりと調整してありますので、「パーフェクト取ろう」という遊び方だけではなく、好きなだけ自由に振って楽しんでいただけたらと思っています。ぜひ家族や友だちと遊んでください。

幡谷氏:
 僕が学生時代に流行ったJ.ガイルズバンドの『Centerfold』のような80年代の名曲から現在のEDMまで、ワールドワイドに時代を彩ったさまざまな曲の強力なリフやメロディとともにプレイすることができます。僕自身もすごく楽しく制作しました。きっといろんな世代の方々に喜んでもらえると思っています。

巖本氏:
 僕ら世代で流行った曲がたくさん入っています。複数世代でプレイしながら「こんな曲があったんだね」と話題にしてもらえるような作品になってるといいなと思っています。

天池氏:
 僕が好きな曲として「Bang Bang」という曲があるのですが、娘がNiziUのコンサートでその曲を聴いていて、知っているみたいなんです。だから、発売後に一緒にその曲をプレイすることをいまから楽しみにしています。一方で、ひとりでじっくりとゲームを突きつめていくモードもあり、そちらもやりごたえがあるのでいろんな遊び方で楽しんでもらえたらと思います。

中村氏:
 本作はNintendo Switch、Meta Quest、Apple Arcadeという変則マルチプラットフォームに対応しており、会社としてもかなり冒険しながら出したタイトルです。

 『サンバDEアミーゴ』は初代の始まりから「誰かと一緒に遊んで嬉しい、楽しい」という部分で受け入れてもらえたゲームだと思っているので、暗い話も多い昨今に明るいタイトルを届けて、遊んだ方に笑ってもらえたらいいなと思っています。

 現代は音楽の好みも非常に幅が広くなっていますし、「サンバに絞らないならこのさいなんでもかんでもやってしまおう」ということで追加ダウンロードコンテンツもいろいろと用意しております。そちらの方もぜひ楽しみにしていてください。(了)