Interview: Mizuki Hosoyamada (2020-12-09) by Inside Games

From Sega Retro

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This is an unaltered copy of an interview of Mizuki Hosoyamada, for use as a primary source on Sega Retro. Please do not edit the contents below.
Language: Japanese
Original source: Inside Games


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セガのアクションパズルゲーム『ぷよぷよ』と、パズルゲームの金字塔『テトリス』のコラボレーション作の最新作『ぷよぷよテトリス2』が、2020年12月10日にPS5、PS4、スイッチ、Xbox Series X、Xbox Oneでリリースされます(Xbox Series XとXbox Oneはダウンロード販売のみ)。

新キャラクターの追加や新たな物語が展開される「アドベンチャー」モード、3キャラでチームを編成してキャラごとに設定されたスキルを発動させながら戦う新ルール「スキルバトル」の追加、それにともなうスキルバトル時にのみ反映されるキャラクター育成要素など、さまざまな楽しみが追加されています。

そんな本作は、『テトリス』をメインに遊んできたプレイヤーもすんなり遊ぶことはできるのか? そもそも、なぜ『ぷよぷよ』と『テトリス』をくっつけようと思ったのか? 『ぷよぷよ』のシリーズプロデューサーを務めるセガの細山田水紀氏に話をうかがいました。

――率直なところからおうかがいしますが、『ぷよぷよ』と『テトリス』をくっつけようと思ったきっかけは?

細山田実は、それを最初に思いついたのは学生の頃だったんです。とはいえ、ゲームが好きないち学生の考えることですので、バランスはどのように取るか、というようなところまでは考えておらず、ただ「両方いっしょに遊べたら楽しそう」と思っただけなんですが(笑)。

そんな僕がやがて社会に出て、セガに入社して、『ぷよぷよ』の担当になって……2007、8年頃のことだと思いますが、社内で『ぷよぷよ』15周年のWii版が終わるころに、次の展開をどうしよう? という企画案をみんなで考えていました。それでどういう作品、方向性がいいかという案を募集したら、当時のプログラマーから出た案のひとつに「ぷよぷよとテトリスをくっつける」というものがあって。「それ知ってる! 懐かしい!」と(笑)。

――アクションパズルゲームが好きな人ならみんな一度は思いつく、と(笑)。

細山田はい(笑)。今こそその思いつきを実現するときでは、と企画を進めようとしたのですが、さまざまな条件面やタイミングでうまく折り合いがつかず、その時は企画が流れてしまったんです。その後も諦めずにいたら、今から10年以上前のAOUショー(編注:AOUアミューズメントエキスポの通称。現在の名称はJAEPO=ジャパンアミューズメントエキスポ)で、テトリスカンパニーの方が来日されると知りまして。「これはチャンスだ!」と、にぎやかな会場で企画書をお見せしながらご相談しました。

――すごい行動力ですね!

細山田弊社の『テトリス・デカリス』(編注:2009年稼働のアーケードゲーム。レバーの先端についたボールが両手で抱えなければならないほどに大きく、見る者の目をひと際引き付けた)を担当した者が僕の同期にいますので、『テトリス』をお借りするときにはどういうことに気を付けたらよいかをヒアリングしておいたのがよかったのかもしれません。あと、テトリスカンパニーの監修の方は日本にお住まいの経験があり、『ぷよぷよ』を知ってくれていたのも大きかったです。

――『テトリス』は、テトリミノ(画面上部から落ちてくるさまざまな形をしたブロックの総称)に使える色がしっかり決まっていると聞いたことがあります。

細山田いくつかあるレギュレーションのひとつですね。弊社のみならず、他社さんの『テトリス』でもしっかり守られていますよ。昔と今で使えるカラーが変わることもありますので、みんなが大好きな棒状テトリミノの色を聞いたりするとその人がハマった年代をしぼれたりします(笑)。

――それは知りませんでした(笑)。それでは『ぷよぷよテトリス2』についてもおうかがいします。『ぷよぷよ』ファンはもちろん、『テトリス』ファンにも大きくアピールする作品ですが、『テトリス』だけに触れてきたプレイヤーは最初にどういう遊び方を勧めたいですか?

細山田まずは、本作からの新ルール「スキルバトル」に触れてみてほしいです。「スキルバトル」はルール名の通り、さまざまな効果を持つスキルを発動させながらバトルするモードです。『テトリス』でも、スーパーファミコンで発売された『テトリス武闘外伝』に必殺技の概念がありましたよね。あれと似たようなものですよ! 27年前のゲームですけど……(笑)。

『ぷよテト2』では、「アドベンチャー」モードでキャラクターのレベルを上げると「スキルバトル」にのみそれが反映されて、HPが高くなったり新たなスキルを覚えたりしますので、繰り返し飽きずに遊べるようになっています。

また、25秒ごとに『ぷよぷよ』と『テトリス』がそっくり入れ替わるルール「スワップ」もおすすめです。前作からあるルールですが、多くの方からご好評をいただけました。『テトリス』ファンにはおなじみの「40ライン」や「マラソン」、「ウルトラ」に加え、インターネット対戦では『テトリス』同士のマッチングに限定した「テトリスリーグ」を新たに追加しています。

――『テトリス』だけ遊びたい、というスタイルでもかなり遊び込めそうですね。

細山田ゲームが2本+α入っているようなものですから。それをひとつにまとめたお得感あふれるタイトルが『ぷよぷよテトリス2』です!

――両タイトルを絡めたバランス調整はどのようにされているのでしょうか。

細山田『テトリス』はラインを埋めて消していくというシンプルかつ普遍的なルールが魅力で、テトリミノの落下速度がどんどん早くなることで難しくなっていきますよね。対して『ぷよぷよ』は連鎖という要素がある分、全体的なゲームスピードやぷよの落下速度はテトリミノより遅いので、そのままで対戦するとゲームスピードがアンバランスになってしまうんです。その差を解消するため、『ぷよテト』は他の『ぷよぷよ』よりもぷよの落下速度やゲームスピードを速くしています。

こうしたバランス調整は、昔は社内でパズルゲームが得意な人にプレイしてもらったり、社外の方と機密保持の契約を結んだうえでバランス調整に参加していただいたりしていました。本作では、同じようにそういった多くの方のテストプレイによるコメントを参考にしつつ、開発終盤はプロ選手にもテストプレイをしてもらい、そのご意見を参考に開発側で調整しています。

――なるほど。時代の流れを感じます。

細山田格闘ゲームや対人戦のパズルゲームが顕著ですが、こうしたバランス調整は確固たる正解がないので、どのような調整をベストとすべきかいつも悩みます。ただ、プロの選手にも意見をもらっているとはいえ、初心者から上級者まですべての人に合わせるのは難しいので、多様な意見をもらいつつも、ある程度判断が必要です。最終的な判断をしているのは僕ですので、もし遊んで納得いかないところがありましたら、ご批判は僕にお願いいたします。

――対戦ゲームの宿命のようなものですよね。

細山田『ぷよぷよ』にもe-Sports向けのタイトル『ぷよぷよeスポーツ』がありますが、ゲームをスポーツになぞらえて考えるなら、"うまい人が必ず勝つ"というのは当然なことなんです。ただ、『ぷよテト』はコア層や上級者など深く遊びこむ方だけではなく、もっと気軽にプレイしたり、みんなでわいわい遊んだりする方たちにも手に取っていただけましたので、実力が上なら必ず勝つわけではないルールやハンデ設定も用意しています。

――パーティーゲームとしてなら、その方が楽しめますよね。『ぷよテト』には『テトリス』をイメージしたキャラクターたちも登場しますが、どのようにして設定が固められたのでしょうか。

細山田前作の企画時に「テトリスのキャラクターがいてもいいんじゃないか」と思い、テトリミノの形状をもじった名前のキャラクターたちを考案しました。ゼットがロボットみたいなものだったり、アイが犬っぽかったりしているのは、アートディレクターがいい意味で好き放題やってくれました(笑)。

前作発売前は「テトリスファンの方たちに受け入れてもらえるだろうか」とドキドキでしたが、発売後に「テトリスのキャラクターたちの活躍をまた見たい」という感想をたくさんいただけて励みになりました。そうしたお声は、こうして続編をお届けする後押しにもなってくれています。

――それはいい話ですね。『ぷよテト2』では、単独キャラになったカーバンクルや、不思議な女の子・マールなど、さらにキャラが追加されています。

細山田はい。おかげさまで前作は海外でもヒットし、多くの海外ファンにも喜んでもらうことができました。これは余談ですが、2016年にニンテンドー3DSでリリースされた『ぷよぷよクロニクル』は残念ながら海外展開できていないのですが、海外ファンからはローカライズを望む声もあって。

そこで、『ぷよテト2』で部分的にでもその声にお応えできればと、『ぷよクロ』のアリィを登場させることにしました。『ぷよぷよ』はキャラクター数が膨大で常に全員を登場させるのは難しいので、新作を手がけるときはいつも人選に悩みます。

――それも、歴史のある対戦ゲームにはついて回ってしまう課題ですね。発売後のアップデート計画などはありますか?

細山田2021年に、何回かに分けてアップデートを実施する予定です。キャラクター、BGM、新規モードの追加などを考えています。1つ具体的に挙げると、複数のプレイヤーで協力してボスを倒す協力プレイなどを企画しています。

――期待しています。『テトリス』と『ぷよぷよ』の大きな違いは連鎖の有無かと思いますが、『テトリス』プレイヤーに向けた連鎖を組むためのアドバイスはありますか?

細山田『ぷよぷよ』の連鎖は、ぷよを消したあとのズレを利用して連鎖する階段積みが基本中の基本といえる積み方ですが、『テトリス』も、やり込んでいくとそういう"型"ができてくると思うんです。Tテトリミノを狭いスペースで回転させてはめ込むTスピンのための土台作りとか、REN(編注:横一列並べて消すラインクリアーを、間髪入れずに続けていく消し方。積み方を工夫すれば連続で消していける)とか。

ですので、『テトリス』に慣れた方は『ぷよぷよ』もすんなり遊べるのではないかなと思います。また、『ぷよテト2』には『ぷよぷよ』を基礎から教えてくれる「レッスンモード」もありますので、そちらも活用していただけますと!

――ありがとうございました。最後にあらためて、『ぷよテト2』が気になるユーザーにむけてひと言お願いします。

細山田あえて他社さんの作品名を挙げますが、僕は『テトリス99』も『テトリス エフェクト』も大好きです! そうした『テトリス』の新作たちといっしょに、『ぷよテト2』がアクションパズルというジャンルそのものを盛り上げる一助になってくれれば、これに勝るものはありません。

新ルールの「スキルバトル」は『ぷよぷよeスポーツ』での知見を活かし、見栄えがしつつプレイの邪魔にならない爽快感あふれる演出を追及しています。本作で初めて『ぷよぷよ』に触れる方はもちろん、前作から遊んでくださっている方も新鮮な気持ちで楽しめるのではと思います。PS4、PS5とスイッチでは体験版も配信中ですので、よろしくお願いします!

(C)SEGA
Tetris (R) & (C) 1985~2020 Tetris Holding.
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Tetris Game Design by Alexey Pajitnov.